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松本市
生まれ変わったLDKで
新たな家族の物語を紡ぐ
ひと昔前は、住宅は新築するものという考え方が当たり前だった。
最近では古民家リノベーションがブームになり、さらに現在では中古住宅の購入が選択肢のひとつになるほどスタンダードになっている。
この住まいは中古住宅におけるマイナス面を、間取り変更という大胆さでぐっと使い勝手のいい家に生まれ変わった好例だ。
広すぎて寒々しい印象のダイニングキッチンと洋室の間仕切りをL字にすることで、家族のつながりを感じる明るくのびやかなLDKを実現。
そして、断熱と耐震の性能をアップした安心の性能補強を実施。
最小にして最大の効果を上げたコスパ抜群のリノベーションだ。
【暮らしにあわせた家事動線】
リノベーション前の悩みは、脱衣所からキッチンまでそれぞれ壁に挟まれて並んでいること。
西側の玄関から東のリビングに向かう廊下に並行して、浴室、トイレといった水回りが壁を挟んで並んでおり、掃除のたびに各所へ行き来しなけらばならないことは目に見えていた。
そこで、脱衣所とキッチンの間の壁を引戸に変更。水回りに直接アクセスできるようにしたことで家事のしやすい間取りになった。
さらにキッチンを反対側に移動し、対面式キッチンに。
振り返るとすぐに手が届く位置に調味料が置ける飾り棚を設けるなど、便利な工夫もリノベーションならではだ。
【断熱・耐震改修で住空間を飛躍的に改善】
近年リノベーションという手法が普及したのは、社会全体が持続可能なストック型社会にシフトしているという時代背景が大きく作用している。
住宅を持続可能にする最も大きな要素といえば、何と言っても「耐震性」だろう。
倒壊の恐れがある建物を現代の技術で補強し、より長持ちさせることは時代の要請に合致しているのだ。
この住まいも例外ではなく、0.34だった耐震検査の評点を1.02へ大幅に改善させた。
また、耐震性とあわせて補強したい「断熱性」
LDKと水回りは特に結露することが予想されたため、床・壁・天井へしっかりと断熱をおこなうことで住空間の温度変化を少なくし、ヒートショックへの心配がない安心できる快適空間に生まれ変わった。
愛着のある住まいをより安全にすることは、地域に根付いたつくり手の使命なのだ。
【既存のスペースを活かした造作で温かみのある印象に】
もともとの良い面はそのまま有効活用し、奥様がお好みの北欧風インテリアが映えるようにTVボードや収納を造作。
ダイニングキッチンと洋室を区切っていた垂れ壁をなくし、L字のLDK空間へ。広く明るいLDKはまさに家族団らんの象徴だ。
冬の寒さが厳しい信州の土地にありながら、あたたかな光が差し込む空間でゆったりと過ごすことができ、家族が自然に集まる場所になった。
【段階的なリノベーションで理想の家をつくっていく】
今回の施工は、1回ですべてを作り変えるのではなく、依頼主の好きなタイミングに合わせて改修していく段階的な手法がとられている。
古き良き風習である「同じ家に住みながら少しずつ手を入れて、何期かに分けた工事で家全体を生まれ変わらせる」という進め方が、今でも行われているのだ。
依頼主曰く、ゆくゆくは居室に手を入れるという。
少しづつ、よりよく住まう。
このリノベーションの方法が未来に繋がっているようだ。
築年数:39年/施工面積:70.62㎡(21.36坪)