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駒ヶ根市 / 中山芳幸さん
ずっと眠っていた蔵をオーディオルームにリノベーション。
ノスタルジーと洗練が同居する空間へと生まれ変わった。
誰でも、いつかは好きなものに囲まれた自分だけの空間がほしいと思うのではないだろうか。中山さんもそのひとり。20代の頃から集めた膨大な量のレコードやCDを美しく収納でき、大音量で音楽を聴くことのできる空間がほしいと思っていたという。
きっかけは、中山さんもよく訪れる蔵カフェ「飯島茶寮」のテレビ取材時に、中山さんの土蔵も取材を受けたこと。当時はこれといって活用していなかったが「そのうちオーディオルームにしたい」と語ったところ、テレビを見た友人たちが実現を心待ちにするように。それなら、と思い切ってリノベーションに踏み切ることにした。
設計・施工は、音楽でつながりのある友人が副社長を務める石田建設に依頼。「実務も、レコードを収集している山中さんが担当してくれました。音楽好きで、私のこだわりをすっと理解して、プロならではのアドバイスをいただきました」と中山さん。室内の雰囲気を先述の「飯島茶寮」のイメージにしたいと伝えると、山中さんはわざわざ出向いて雰囲気を確認。思い描いていた通りの、暗すぎず明るすぎない、心地よい空間を実現してくれた。
「オーディオルームは同じ趣味を持つ人と過ごすためにつくったんです。担当いただいた山中さんとは一緒に音楽を楽しむ仲間として、これからも末永くお付き合いさせてもらいたいです」と話す。
音楽への思いが響き合い、見事に命を吹き返した蔵のオーディオルーム。ジャズ喫茶のように多くの人が集い、ともに音楽を楽しみ、交流する場所となるはずだ。
機能性と、心地よさを追求
今回のリノベーションでは、外部は手を加えず内部を大きく改修して居心地のいい空間をつくることに。まずは圧迫感のあった1階天井を取り払い、開放感のあるスペースを確保。蔵の奥正面にオーディオなどの機材を置くスペースをつくり、両サイドの壁には造り付けのレコードラックをつくった。
石調フロアで仕上げたオーディオの機材置き場は、振動防止と水平保持のため土間コンクリートに特殊なレべリング材を敷設。スピーカーから響く重低音
を支えるつくりにこだわった。くつろぎのスペースは通常の床組みにして足ざわりのよいヒノキの無垢材を敷き、壁は既存の板張りを活かして汚れ止め塗装の
みの仕上げとした。
古さと新しさが同居する蔵のオーディオルーム。機能性と過ごすひとの心地よさを推し量ってつくられた空間で、レコードを聴いたり、自転車の整備をし
たり、友達を招いたり。「長年の夢を叶えた」と笑顔で語る中山さんは、とても充実した時間を過ごしているようだ。(2019.0925 リフォームリノベーション掲載)