その他 ／ 70年代不動産 山科モデルハウス

さびれたガレージハウスからサーファースタイルの家へ

　山の手の閑静な住宅街に現れる、鮮やかなグリーンの外壁。この「山科モデルハウス」は、驚くべきことに数カ月前まではボロボロのガレージがついた、さびれた空き家だった。

　米軍基地の近くにあるアメリカ人向けの住宅を思い起こさせる、いい意味で日本的ではないこの住宅は、住み方がとても自由だ。天井板を抜き、鉄骨をあらわしにしたことで開放的な空間に。床には荒っぽい下地材を斜めに張り、無骨でかっこいい印象のLDKになっている。築49年のさびれた平屋の面影はなくなり、70年代を思わせるアメリカンなサーファースタイルの家に生まれ変わった。

　平屋であること、建て替えが難しいことなど、売れない理由がいくつもあったこの家は、長い間売りに出されていた。中古物件は、家の持つ可能性を見抜くのにかなりの経験が必要で、難しい。しかし、「70'sＯＮＥの家」は物件探しから一緒に行い、工事の過程で“残すべき財産と、取り去るべきもの”を仕分ける目も確か。本物のヴィンテージを再利用することで古い家の持ち味を生かせ、解体の際に出る廃材が減り、コスト削減にもなって一石二鳥だ。

　「70'sＯＮＥの家」では、家のもつ可能性を吟味した家づくりをするから、同じものがない世界にひとつの家になるのだろう。

（ナガノの家リフォームリノベーション　Vol.4　2020-2021掲載）