長野市
広瀬毅建築設計室
広瀬毅建築設計室 (長野市)
長野市 / K邸
暮らす人のライフスタイルが変われば、器となる住まいも変化した方がいいはず。「でもそう簡単に住み替えはできないし…」という人にこそ見て欲しいのが、このマンションリノベの事例。不動産会社のリファーレ総合計画の企画により、設計事務所(広瀬毅建築設計室)とマンションデベロッパーの3社が共同で進めたプロジェクトだ。
約27坪という面積ながら、深呼吸したくなるような伸びやかな空間が叶ったのは、南面リビングをフレキシブルに使えるオープンスタイルに変更したおかげ。「もともとは約16帖のLDK横に個室が3つ並ぶという細切れの間取りでしたが、南面が長く取れるという長所を生かして使い勝手のいい間取りへの変更を考えました」と、設計を手掛けた広瀬さん。そんな開放的な空間に、住ま手であり一級建築士である古後さんがインテリアでアクセントをプラスして現在の姿が完成した。
3つ並んでいた洋室のうち、ふたつをつなげて大空間のリビングへ。従来のLDKはダイニングキッチン+水回りへと変更し、リビングとはL字でゆるやかにつなげて、奥行とゆったり感を併せ持つ寛ぎの場となった。「南面が長いリビングは、ライフスタイルに応じて建具で仕切ったりオープンに使ったりと変化に対応できて便利なんです」と広瀬さん。空間をつなげたことで住まい全体に回遊性も生まれ、格段に暮らしやすい間取りに生まれ変わった。
今回のマンションの構造はRC造。築年数が浅く、耐久性や断熱性能は十分だったことから構造に手を加える工事は行っていないが、見た目の印象は大きく様変わりした。「RCのメリットは、自由な空間づくりに向いているということ。リノベーション向きの構造と言えます」と広瀬さん。内装変更も容易なため、「部屋ごとに趣向の違う見せ場をつくって楽しんでみました」といたずらっぽく話す通り、時に大胆で個性的な内装が訪れる人をワクワクさせてくれる。
広瀬さんとともにCREEKSを立ち上げた古後さんは、空間設計、オリジナル家具のデザイン、地元作家とコラボした商品開発などを手がけているが、この秋には新しい動きが。CREEKSとリファーレ総合計画がタッグを組み、不動産と建築のプロ集団『CRIF』としてリノベーション事業を本格的にスタートさせる。「このマンションを通じ、不動産・設計・デザイン・施工を一貫して扱うことが中古物件に資産価値と魅力を与え、より良い住まいづくりにつながると実感しました」と古後さん。何気ない普段の生活にキラッと輝きを添える、そんな住まいがもっと増えるに違いない。
(ナガノの家リフォームリノベーション vol.1掲載掲載)
できるだけ仕切りの無い「ワンルームのような暮らし」を実現するため、個室2部屋をつなげてできた約15帖のリビング。奥にはダイニングキッチンが続き、程よくエリアを分けたセミオープンスタイルで空間にメリハリを生み出した
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広瀬毅建築設計室