飯綱町
有限会社土倉製材所
有限会社土倉製材所 (飯綱町)
白馬村 / 三田邸 / 夫婦2人
【山岳に魅せられ、自然のなかに暮らすと決めた】
ご主人は生まれも育ちも東京、奥さまは生まれが東京、育ちは横浜。そんな都会生まれ・都会育ちのふたりが信州に住み始めたのは昭和55年のことだった。
中学生の頃から山の世界にのめり込んでいたご主人。特に20代の頃は、ヨーロッパやアフリカ、ネパールなど海外の山へ出かけては登山やロッククライミングに熱中していたという。30代になってからはヒマラヤ山麓のトレッキングを楽しむようになり、その頃出会った奥さまを連れてネパールへ出かけるようになった。都会的な暮らししか知らなかった奥さまにとって、旅を通じて触れた電気もガスもない現地の暮らしはすべてが新鮮だったという。「最初は、こういう場所で暮らせるんだと驚きました」という奥さまだが、「この経験をきっかけに、私も田舎で素朴に暮らしてみたいと思うようになったんです」と、転機となった旅を振り返る。
半年間のネパール旅を終えて帰国したふたりはその後信州を訪れ、美しい稜線が連なる北アルプスを目にした。本場ヨーロッパのアルプスやヒマラヤを感じさせるスケールに、「一目惚れだった」とご主人。雄大な山並みと素朴な風景に導かれるように、信州への定住へと踏み切った。当初は旧・美麻村に茅葺き屋根の家を借り、その後白馬に移り住んで昭和61年から今の地に暮らしている。
【住み慣れた地で始める快適ログハウス生活】
白馬村に一軒家を借りて暮らしてきた三田さん一家が、新しいログハウスを建てることになったきっかけは、2014年11月に起きた長野県神城断層地震だった。住んでいた三日市場地区が隣の堀之内地区とともに大きな被害を受け、三田さんの住んでいた家も「半壊」の判定を下されたという。
「東京へ戻るという選択肢もありましたが、ふたりともここに住む以外に考えられなくて。悩んだ挙句、大家さんにお願いして借りていた家の土地を譲っていただき、ここに念願だったログハウスを建てることにしました」と、当時を振り返る。
ご主人の釣り仲間の紹介で、ログハウス専門の土倉製材所を知り、地震に強くて断熱性があり、薪ストーブを楽しめるログハウスの建築を依頼することにした。おもな構造材となる材木には腐食に強く丈夫なウェスタンレッドシダーを使用し、工法は耐震性もあり間取りの自由度の高いポスト&ビーム方式を採用。長く安心して住める、温かみあふれる住まいに仕上がった。
新居には、窓から北アルプスの山並みが望める広いゲストルームも備えた。「独立した子どもたちも居心地が良いみたいで、長期休みのたびに孫を連れて帰ってくるんですよ」木のぬくもりたっぷりの明るいリビングで寛ぎながら、奥さまが嬉しそうに話してくれた。(ナガノの家 Vol.12 2019年秋・冬号掲載掲載)