工房信州の家/株式会社フォレストコーポレーション (伊那市)
☎0265-73-8333
小布施町 / K邸 / 夫、妻
空気感とゆったり流れる時間…
ベースキャンプを持つことで
信州を2倍楽しめるように
会社経営者のご主人と会社員の奥さま、ともに平日は東京で忙しい日々を過ごすご夫妻が週末を信州で過ごすようになったのは、今から20年以上も前のこと。「会社を引継ぐ頃とバブル崩壊がちょうど重なって。仕事に追われるうちに、メンタルがおかしくなってしまって。そんな時ふと訪れたのが信州の温泉。大自然に心が洗われて、たちまち信州が大好きになった。そこから『スキーでもやってみようか』と、楽しみが広がっていきました」。冬はスキー、夏は山登りのため、金曜の夜には長野のホテルにチェックイン。土日をめいっぱい過ごして日曜夜には東京に戻る…という生活が続く。長野にアパートを借りる頃には、「やがては信州で暮らしたい」という夢が具体的に膨らんでいた。
当初は北信濃エリアの古民家をリノベーションして暮らそうか…と考えていたご夫妻。ご主人はすでに、「アウトドア道具と仲間に囲まれておいしい酒を飲む」という暮らしのイメージを描いていた。そんな折、理想のスペース=〝土間〟のある工房信州の家のモデルハウスにひと目惚れ。同社の担当者が熱心に土地探しをしてくれ、この地と出会う。「土地を見に来た時『ここは移住者も多いし、いい所よ~。待ってるからね』って近隣の方が声を掛けてくださって。そのひと言で心は決まりました。ご近所の人間関係って、住んでみないとわからないけど一番大事なことのひとつ。今日も隣のおばあちゃんから野菜をいっぱいいただいて。薪ストーブの木も、『このリンゴの木、持って行きな』なんて、軽トラまで貸してくれるんです」。
ご主人はまた、「この家ができてから、信州を2倍楽しめるようになった」とも。ひとつは、自宅にいるだけでゆったりと流れる時間に、心癒されるひと時。もうひとつはやはり、ここを拠点に友人たちとアウトドアに繰り出すアクティブシーンだ。「スキーから帰って来ると、みんなが料理している横でビールを飲みながら板のメンテをするのが僕の役割。『今日は誰それの板がよく滑ったよね~』なんて話をしながら」。奥さまは、念願だった家庭菜園がマイブーム。この日も、感動の初収穫をしたというジャガイモがたっぷり入ったスープをふるまってくれた。「主人は東京、私は兵庫の出身。いわゆる〝田舎〟がない私たちにとって、ここは初めて持ったふるさとです」。コロナ禍もあり、仕事のほとんどをこの場でテレワークしているという奥さまは、すでに生活の軸足を移行中。「あと5~6年かな」と、夫婦そろって完全に移住する日を心待ちにしている。
(ナガノの家 Vol.15 2021年春夏号掲載)