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松本市 / T邸 / 夫、妻
間取りや収納、窓の大きさまで設計図がびっしりと書かれた数冊のノート。建築士が書いたものかと思いきや、すべてTさんご夫妻が書いたものだ。東建築設計と一緒に何度もプランを練り、今の家になった歴史が刻まれている。「自分で見て調べて書いて、何が出来て何が出来ないか一つ一つ納得したくて。そんなこだわりを形にしてくれたのが東社長でした」と話す。
家づくりを始めたのは2017年。数々の会社を回る中で社長が大工であり一級建築士でもある同社に出会った。施工業者も精鋭の職人を集めており、確かな技術力に信頼を寄せた。難航したのは土地探し。最も重視したのは眺望で、根気よく探し続け5年目にして、常念岳から白馬連峰までを一望できる今の土地に出会えた。
パノラマビューを眺める特等席はキッチン。キッチンを壁付けにして西と北に窓を付け、眺望を180度切り取った。「ここから山が見るのが大好き。長くキッチンにいたいから食洗機も付けませんでした」と奥さまは微笑む。アウトドアが趣味のご主人がこだわったのは1階の土間。床をタイル張りにし、スキー用のバイス台を造作。夜でもロードバイクをインターネットに接続してバーチャルライドを行う。
淹れたてのコーヒーとともに刻々と変化する眺望を楽しむ。何よりも心が満たされる瞬間だ。人生を贅沢に味わう工夫がここには詰まっている。(ナガノの家 vol.21(2024年春夏号)掲載)