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上田市 / N様邸 / 夫、妻、長女
デザイン、外への広がり、空間のつながり、環境への配慮
すべての存在に理由がある
その積み重ねられた“計算”に反して
隅々にまで、ホッと心が安らぐ
極上の心地よさが満ちあふれている
そう、ここは誰もが「ただいま」と言いたくなる
信州の風景に寄り添う住まい
信州らしいのどかな風景に溶け込む新たなコンセプトハウス
冬晴れの澄み切った空に映える淡い土色の塗り壁と深い木の色。南面の大きな開口からは、遠く蓼科の山々が見渡せる。そんな上田の地にできたばかりのこの家は、地域に根差した家づくりを続けてきた美し信州建設の新たなコンセプトハウス。設計にあたって現代の日本を代表する建築家のひとり・伊礼智氏を迎え、「これから手掛けていく住まいの新・スタンダードとなるものを」という思いでプロジェクトをスタートさせた。
テーマとしたのは、「新しい、懐かしい信州の家」。一見矛盾するようなテーマに疑問を感じるかもしれないが、実際に訪れてみると納得。家中のそこかしこに、不思議な心地よさと落ち着きを演出する仕掛けが散りばめられている。
例えばLDK。「対面式で家の中の様子がわかるキッチンにしたい」という奥さまの希望から、続くダイニングは2階ともつながりを持つダイナミックな吹き抜けに。一方で奥のリビングは1段下げたダウンフロアとし、低めの天井と相まって落ち着きに徹した空間となっている。「LDK全体としての一体感はありつつ、それぞれの場所にそれぞれの雰囲気があって、どこに座ってもしっくり馴染む。フッと肩の力が抜けるような安らぎと落ち着きがどの場所にもあるんです」と同社の中嶋社長。特に奇抜なわけではなく、一見とても自然に、何気なく見えるLDK。しかしそのさり気なさこそ“居心地の良さ”を計算しつくしてたどり着いた、匠の力の真髄なのだ。
時代が移り変わっても“心地よさ”は変わらない
誰からも愛され、永く住み続けられる家
最新システムと
伝統的な意匠を織り交ぜて
目に見える部分だけにあらず。この家の快適さの影の立役者は、冷暖房と給湯、さらには熱交換換気のすべてを季節や天候に合わせてコントロールする「OMX」というシステムだ。「太陽の恵みや廃熱を有効活用でき、省エネ性が高いのも特徴です」と中嶋社長は話す。
また、新築ではとかく「明るく、開放的に」を求めがちだが、過剰な光や高さはかえって落ち着かなくなるもの。伊礼氏の設計ではそれらをあえて抑え目にしつつ、格子や建具などで調整できる工夫を凝らした。さらに「居場所をたくさん設ける」のも伊礼流。ダウンフロアのリビングは、造作のソファに身を沈めてもよし、段差部分にめいめい腰掛けてもよし、さらには外に続く“庭間”や脇のゴロゴロコーナーなど、思い思いに過ごせるスポットが盛りだくさんだ。「開放感とこもり感、スタイリッシュさと遊び心…などのメリハリが効いているから、気分に応じた空間の使い分けができます。友人がたくさん訪れたり家族の増減があっても、永く楽しく快適に暮らせる工夫ですね」と中嶋社長は話す
。そう、家族は成長し、ライフスタイルは変化するもの。でもこの家なら、変わりゆく家族を柔軟に受け止め、変わらぬ快適さで包んでくれるはずだ。「『ただいま』と言いたくなる家を、信州にもっと増やしたい」―そんな同社の想いが伝わって来るような、“新しい、懐かしい信州の家”だ。
(ナガノの家 PREMIUM2021掲載)