サイエンスホーム 松本店/株式会社HARU建築工房 (松本市)
☎0263-50-5402
松本市 / K様邸 / 夫、妻、長女、次女、長男
無垢材の質感と陰影の妙静謐な住空間が家族を優しく包み込む
アイボリーの和やかな風合いに、玄関脇に設えた檜材のルーバーと長めの軒を力強く支える重厚感のある軒桁が存在感を放つ、和モダンな外観。その穏やかな佇まいに誘われるように中へと進んでいくと、あづみの松のフローリングに加え、伝統工法の真壁づくりによる柱や梁の美しさ、さらに格天井が作り出す光の陰影などが見事に調和した、静謐な住空間へと繋がる。家族が増え、それまで住んでいたアパートが手狭になったことから始まった家づくり。代表の岡澤さんとの出会いは、ご主人の知人を介して。初めは北欧風の住宅をイメージしていた奥さまだったが、実例集などを見ていくうち、サイエンスホームが手掛ける真壁づくりの美しさや、空間演出に惹かれ、依頼を決めた。家族の暮らしに寄り添い、ともに歩む“家”、その歩んだ時間とともに味わい深く変化していくのも、木の家の魅力のひとつ。床や柱、天井にはじまり、建具や造作家具に至るまで、天然木で満ち溢れているともいえるK邸。ひのきのほかにも、松やクリ、ツガなど異なる木材を使い分け、それぞれの質感がさりげなく空間を色付ける、その謙虚さがまた一段と趣深い。さらに、階段下の収納や座り心地が良いようにと高さも熟慮した畳敷の小上がり、リビング上の吹き抜けをコの字型に囲むキャットウォークなど、随所に見られる住まい手の自分らしさから、作り手との一体感も感じられ、家族の幸せな暮らしを願う優しさが伝わってくる。
快適な住まいの実現へ向け幾重にも重ねられたこだわりの数々
K邸の心地よさを生み出している要因はいったい何だろうと考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは真壁づくりによって強調される無垢材の柱や梁、それらが醸し出す表情豊かな風合いだろう。しかし、もちろんそれだけではない。1階には松、2階にはクリと木材を使い分け、フロアごとに異なる趣を与えている無垢フローリング、サイエンスホームオリジナルの無垢材の建具、収納量や機能性に優れながらも周囲に溶け込むように馴染むキッチンやカップボード、さらにはメーターモジュールが可能にする広々とした空間取りなど、様々な要素が重なり合い、居心地の良さを表現している。そして、サイエンスホームの標準では外張り断熱のみのところを、内側にも断熱材を入れて寒冷地仕様とし、冬でも日中は温かくエアコンも不要というほど断熱性能を向上させたことも心地よさの要因のひとつだろう。リビングからキッチン、そしてユーティリティスペースへと抜けられる、便利な回遊式の動線、ライフスタイルも考慮した収納スペースの配置や容量など、K邸を訪れて感じた魅力を数え挙げればきりがない。これら多くの要因が重なり、その相乗効果によって完成した、住み手の快適さを追求した家。そこへ、これから家族が紡いでいく長い時間の中で生まれる“味”が加わり、より一層心地よい住まいへと変化していくのだろう。
(ナガノの家 PREMIUM2021掲載)