サイエンスホーム 松本店/株式会社HARU建築工房 (松本市)
☎0263-50-5402
大町市 / Y邸 / 夫、妻
「真正面に山を見ながら季節を感じて暮らしたい」
森に囲まれ、周囲に溶け込むように建つナチュラルモダンな家。古民家を思わせる真壁造りの室内には絵やオブジェが美しく飾られ、丁寧な暮らしぶりが見えるようだ。心地よさに包まれてリビングに入ると、眼前に広がる大パノラマに思わず息をのむ。真正面に北アルプスの山並み、眼下に田園風景、空と木々。「いつか景色のいい所で暮らすと決めていたんです」とご主人の顔がほころぶ。
長年大阪でデザイン事務所とネットショップを営み、仕事漬けの毎日だったご夫妻。安らぐはずの自宅も、「窓を開ければすぐ隣家。何をするにも周囲に気を遣うし、季節感もない」と、自然豊かな地への移住に憧れていた。多忙を極めて体調を崩した折、「今がその時」とすぐに行動。真正面に山並みが見える環境にこだわり、土地を探すことおよそ半年。この場所と出会い、「主役は眺望」というこの家をつくった。
移住から間もなく1年。窓に目をやれば山が見え、季節のうつろいを実感する。時の流れは穏やか。散歩に出ればキツネやタヌキに出くわすことも度々という。「とりわけ、冬がすごくいい」と言うおふたりの言葉通り、暖かな家から眺める白銀の世界はまるで絵画のよう。ジャズが流れるスピーカーのボリュームを目一杯に上げながら「暮らしが一変しました。こうして大音量で聴くこともできるしね」と笑うご主人。今は自分たちのペースで仕事をしながら、暮らしを慈しむ日々。思い切って舵を切り理想を追求した住環境は、ご夫妻の人生観までも様変わりさせた。
心と体に馴染む自分たちらしい家
ご夫妻が思い描いていたのはダイナミックな景色が広がるワンフロアのオープンな住まいだが、依頼先探しはゼロからのスタート。ところが、「私たちに馴染む考えやイメージを共有できる会社に、なかなか出会えなくて」とご主人。「『ウチではやらない、できない』の連続。途方に暮れる思いでした」。そんな中出会ったのがサイエンスホーム。ネットでの情報収集中、今では珍しい真壁造りの同社の家に目が留まった。
サイエンスホーム松本店の岡澤さんに会ってみると、ご夫妻の考えや希望を素直に受け止めてくれたという。「応えようとしてくれることが何よりも嬉しかった」と奥さま。ステンドグラスや造作洗面化粧台は、ご夫妻の要望に向き合いながら実現したものだ。「在来木造だから基本は自由。叶えられるものは叶えてあげたいという思いがありました」と岡澤さんは話す。
引っ越して間もなく、大町に住む棟梁が犬の散歩がてら様子を見にきてくれたという。「それがすごく嬉しかった。つくった人が身近にいて、気にかけてもらえる関係なんて理想的」とご夫妻。自分たちらしさを求めてつくった住まいが新たな縁を生み出し、ご夫妻の穏やかな暮らしを見守っていく。
(ナガノの家PREMIUM 2022掲載)