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塩尻市 / 熊谷様邸 / 夫、妻、長女、長男、夫の母、猫1匹
四季を通じて変化する生きている庭は
暮らしにエネルギーと癒しを与えてくれるパワースポット
生命力にあふれ 手をかけた分だけ美しい
庭の魅力を満喫したいから
家中どこにいても 家族もゲストも
みんなが庭を楽しめる住まい
「家と庭」が調和して「家庭」
理想としたのは、気付けば
そこに庭がある暮らし
塩尻市で造園会社「庭蒼」を経営する熊谷さん。“自然の生命力”と“手をかけた美しさ”を融合した庭造りを行う熊谷さんが新築した自宅は、「家と庭が調和する暮らし」がコンセプト。手掛けたのは、“耳で建てる家”をコンセプトに持つ菱田工務店。同年代だという社長の人柄や企業姿勢に惚れ込んだことから計画が始まり、懐かしい民家のような味わいと自らの手掛ける庭が互いの魅力を引き立て合う、理想の住まいが完成した。
「コロナ禍でステイホームということが言われる以前から、『自宅で穏やかに幸福感を感じる暮らし』が、自分の理想のライフスタイルでした。そのためにも、庭は最も大切な要素ですね」との熊谷さんの言葉通り、心を込めて手入れする自慢の庭が、リビング、客間、お母さまや子どもたちの部屋、寝室、バスルーム…家中どこからでも眺められる。例えば、客間のL字型の開口部は、角にあたる箇所に柱を設けないことで、視界を遮られずに庭との一体感を演出した。床の間の低い位置に横長に取った地窓も、その向こうに見える植栽をまるで一枚の絵画のように切り取る。バスルームではちょうど湯船に浸かった時の目線の高さに窓を抜き、屋外の自然を感じながらリフレッシュのひと時を満喫。さらに庭を囲うように巡らせた長い濡れ縁や、戸袋にサッシも網戸も引き込める大開口フルオープンサッシなど、「日々の暮らしの中、視界にいつも庭がある」暮らしを見事に叶えている。
先人が残した、古きよきモノや知恵
自ら手を加え、新たな物語を紡ぐ庭
古今の技が暮らしを豊かに彩る
旧宅の蔵の古材を再利用
祖先に想いを馳せ
佇まいに味わいを加える
木材をふんだんに使った和モダンの熊谷邸をより味わい深くしているのが、旧宅の蔵で使われていた建具や床材、古道具といった「古きよきもの」。中でも特筆すべきはお母さまのこだわりを反映したという玄関と玄関ホールで、時を経てこその魅力を放つ素材が随所に用いられている。
アプローチで迎えてくれるのは、蔵の土台に使われていた石。玄関にたどり着くと蔵戸を再利用した重厚感ある玄関扉が現れ、開けるとホールと式台の床に蘇った古材が目を奪う。明かり採りの窓がある天井と昔懐かしい風情の格子戸があいまって、情緒たっぷりの和の雰囲気が醸し出されている。
「自分も妻も母も古いものが好きだったのと、旧宅を解体してしまうにあたり、せめて部分的に残すことで祖先を敬うことにつながればいいと思って…。そんなこちらの要望に、菱田工務店さんも快く対応してくださいました」と熊谷さん。古いものや祖先を大切にするそんな想いが、熊谷邸の柔らかく懐かしい、肩の力が抜けるような独特の雰囲気を形づくっているのかもしれない。
(ナガノの家 PREMIUM2021掲載)