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長野市 / N邸 / 夫、妻
「家族で過ごす時間は、自分たちらしくありたい」。子どもの誕生を前にこれからの暮らしに思いを馳せ、自分たちらしいライフスタイルが叶う家を目指したNさんご夫妻。アウトドア好きのご主人と、ゆったりおおらかな奥さまが暮らす、築40年のリノベーションの住まいを訪ねました。
家が建ち並ぶ、古くからの住宅地。通りから少し奥まったところに建つ大屋根の家は、ご主人が生まれ育った住まいだ。ご両親が祖父母の家を引き継いで暮らすようになったのを機に譲り受け、結婚以来、夫婦ふたりで暮らしている。元々この家は昔ながらの和風住宅。広縁や続き間、独立したキッチンといくつかの居室があり、ふたりで住むには十分な広さだったが、小間切れで使わないスペースもあったという。「広さを活かせず、居間とキッチンを行き来しながら過ごしていました」と話す。
築40年。次第に家の不具合も増え、どうしようかと考え始めた頃、ヒントとなる出会いがあった。近くに完成した友人の住まいだ。中古住宅をリノベーションしたその家には、玄関からリビングに続く土間があり、薪ストーブが置かれていたという。そこで薪をくべ、炎を眺めながら語らう景色を目にしたご主人は、「ぼんやりと思い描いていた理想を現実に見た感覚だった」と振り返る。それまで新築かリフォームかと悩んでいたご夫妻だが、「新築ほど予算が嵩むことなく、今の広さを維持しながら理想の暮らしが叶うなら」とリノベーションを決断。友人から依頼先の紹介を受け、家づくりをスタートさせた。
リノベーションにあたりご夫妻が求めたのは、開放的で開けていること、木の風合いが味わえること、そして薪ストーブと土間があること。アウトドア好きのご主人は、内と外の境界なく過ごせることにもこだわった。これから始まる子育てや家族と紡ぐ時間に思いを馳せ、「薪ストーブの周りに家族が集い、庭とつながるように暮らす家」へのリノベーションが始まった。
完成した住まいは木質感たっぷりで庭に向かって開けるようなおおらかさ。広縁や和室が並ぶ小間切れ空間は広いリビングダイニングに、独立していたキッチンはリビングダイニングと一体に。南東の一角は広い土間になり、3枚引きの木製建具を開放すれば地続きで庭とつながる。「家と庭の境界がないみたいで、そのまま外に出たくなる」とご主人。本当にその通りだ。
薪ストーブは、土間の一角に据えられた。その脇にはフロアをまたがるように大きなテーブルが置かれている。「たぶんここがずっと家族団欒の場所。子どもが小さいうちも大きくなってからも、薪ストーブに誘われて皆ここに集うんだろうな」と目を細めるご主人。この冬には双子が生まれ、4人家族になる。「一気に慌ただしくなりそう」と笑いながら、嬉しそうに未来を想像する。広いデッキには大きなプールを置くつもり。菜園には夏野菜をつくって子どもたちと収穫したい。春先には薪づくりも。そのうち2階の子ども部屋だって整えなくちゃ。やりたいこともやらなければならないことも山のようにあるけれど、そのすべてがワクワクで、たまらなく愛おしい。
キッチン前に遺された既存の床柱は、ご主人が子どもの頃から見慣れた〝当たり前にあるもの〟という。生まれてくる子どもたちも、いつか父と同じように思う日が来るのだろう。この家で、新たな家族の時間が紡がれていく。
(ナガノの家リフォームリノベーション Vol.6掲載)