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長野市 / Y邸 / 夫、妻、長女
昭和40年代に開発されたという、長野市の高台にある古い住宅団地。今回訪ねたY邸は、ちょうど団地と同じ頃にできた、築43年の平屋をリノベーションした住まいだ。「当初から新築は全く考えてませんでした。新品のピカピカ感があまり好きじゃなくて」と奥さま。ご夫妻ともに善光寺近辺のリノベーション店巡りが好きだったこともあり、自然と「中古物件を好みにリノベしよう」と物件選びをスタートした。
数カ月後に現在の物件と巡り合って購入を決めたものの、工事の依頼先や設計についてはノープランだったと苦笑する奥さま。建築士に依頼の予定はなかったが、「古い家だけに性能面での不安もあったし、私たちの断片的な希望をトータルでまとめてくれる人が必要」という思いから、リノベーションの経験豊富な広瀬氏に依頼を決めた。
ご夫妻が決めたテーマは「昭和のウチ」。おばあちゃんちのような和やかさの中に厳選した家具や雑貨が調和する、レトロモダンな住まいを目指した。特にご夫妻が気を配ったのは、程よく古びた感をどこまで残すか。「何も言わないと、新築みたいな仕上げになっちゃうことも。もちろん現場の職人さんは良かれと思ってやってくださるんですが、風合いが残らないとリノベの意味がないと思うんです。現場で直に『この塗装はこの部分まで』ってお願いしたこともありました」と奥さま。再作業も時にはあったというが、施工を担当した松代建設工業・三沢さんも快く応じてくれたという。
工事前は8つもの部屋に分断されていたが、3人暮らしに合わせ、各空間がゆるやかにつながるゆったりした間取りへと変更。洋服やバッグを作る奥さまの作業場も新たに設けられ、大きく取られた窓からは市街地の眺望が楽しめる。「この眺めを毎日見られるのが本当に幸せ。この家と出会い、受け継げたことに感謝しています」と満面の笑みを返してくれた。
(ナガノの家 2016年秋冬号 vol.6掲載)